「あ、金城くんは先に席を取っておいて、珪くん、手伝って」
にそういわれ、俺はようやくほっとすることが出来た
このまま「二人で話す」チャンスが巡ってこなかったら
俺は・・・大人気ない行動であろうと
映画を観ずにこの場を後にしていたかもしれなかった
そして、俺は・・・金城がどんな反応をするか奴の表情を確認した
『』
金城は、の事を名前で呼び・・・
俺に「ただの同級生だろう?」そう聞いてきた
その意図するところがなんなのか・・・
が奴を『拒絶』し
俺を『選んだ』事実で必ず何か見える・・・そう思った
「了解、それじゃ、俺はアイスコーヒーってことで」
「うん、さよちゃんは何する?」
「私はアイスラテ、ガム二つお願いしま〜す
、ポップコーンは私が出すからね」
「オッケー」
そんな会話が交わされ、二人は何事もなかったように店の奥の空席を目指した
俺はその後姿を視線の端で追った
彼らは、俺が初めに感じた印象の通り・・・まるで恋人同士のようだった
「珪くんは?」
・・・一番奥の席に着いた二人は
こちらを見ることもなく楽しげに話している
なんなんだ・・・・・あいつらは
「ブレンドでいいのかな?」
なぜ金城はに手伝うといったのだろうか
それはへの目的ではなくて・・・
単純に手伝うだけのことを申し出たということなのか
「ねえ、珪くん・・・」
俺は何故かすっきりとしない気分を抱えたまま、店の奥の二人を眺めていた
「ブレンドにするよ」
「・・・え?」
腕に触れたの手のひら
振り返ると、が俺を見上げていた
「珪くん、怒ってる?」
「・・・・」
俺は返事をせずにただ、を見下ろした
は諦めたようにカウンターへ向きなおした
カウンターの中の店員は・・・マニュアル通りの台詞をいう
そして、まるで目の前に恋人がいるかのような笑顔を見せていた
「珪くんには悪いと思ってる、ごめんなさい」
注文を済ませたは・・・がっくりと肩を落とした様子で
ため息混じりに俺を見た
カウンターの中では・・・一人きりの店員が4人分の飲み物を作り始めている
はウォータークーラーの前で水を用意していた
セルフサービスの店はあまり行ったことが無い俺は
何をしたらいいかもわからず、ただを眺めていた
はグラスに水を注ぎながら俺にこう聞く
「怒ってるんでしょ?」
「・・・・別に」
「怒らないで・・・今日のことは理由があるの」
「・・・・」
怒ってないというのは・・・・正直な気持ちではない
二人で映画を観るとばかり思っていた俺は
3人で現れたこと自体に、正直憤慨していた
友達も一緒なら・・・初めからそう言ってくればいいことだ
「詳しいことは、あとで説明させて、ね、お願い」
「一つだけ、先に言えよ」
「何・・・?」
俺が聞きたかったことを口にしようとしたそのとき
「お待たせしました、アイスコーヒー、アイスラテお二つ、ブレンドのお客様どうぞ」
店員が俺に向かってそう言った
俺は・・・目の前に差し出されたトレーを受け取った
「珪くん、何?」
「映画・・・約束は忘れたのか?」
二人で観ようと決めたあの約束
がそれを覚えているのかどうか
それだけは今この場で確認しておきたかった
「まさか、忘れるわけない、だから本当にごめんね」
がすまなそうに俺を見上げた
俺は・・・・のその表情を見たことで
苛立っていた気持ちを落ち着かせることが出来た
理由がある
そういったの言葉を信じよう・・・そう決めた
「ん・・・わかった」
「良かったぁ」
は、そういうと「ほうっ」っと一つ小さく息を吐き出した
シネマシティーは7種類の映画が上映されていた
俺たちの来た時間帯はちょうど中途半端な時間だったのか
コーヒースタンドにも、客の姿は3組しかいなかった
飲み物を持って二人が待つ席へついた俺は・・・
当然・・・空いている席へ座った
そして席は、俺とが並んで座るのが自然な位置が空いていた
「おまたせ〜」
「ありがとう」
そんな会話が交わされて、と吉永が映画の話を始めた
俺は少し苦味を感じるブレンドを口にして、その話を聞いた
「やっぱりトモクローズって格好いいよね」
「本当、どう見ても42歳には見えないよ〜」
「え?42歳なの、おじさんじゃんそれって!」
そんな他愛のない会話をする女たち
そして、それに時折加わる金城も、また笑顔で映画の話をしていた
俺は一言も口をきかず・・・・のんびりと3人を眺めていた
きっと、がなにも気づかずに
持ち前の天然振りを発揮して不機嫌な俺に対し
『珪くん何怒ってるの?みんな一緒だっていいじゃん?』
なんて台詞を言っていたならば、この状況はなかっただろう
いくら天然で鈍感であろうと・・・約束を忘れるのは許せないからだ
だからこそ、きちんと理由があると話してくれたことで俺も納得できた
「ねえ・・葉月くんって、無口な人なんだね」
吉永にそう切り出されて・・・俺は目の前にいる3人を見回した
確かに、何も話さずに・・・ただブレンドのカップを傾けていた
どう見ても、おしゃべりには見えないだろう
集まる視線に・・・俺は返答をしなければいけないことを察した
「・・・ん」
「もしかして葉月くん、私たちが一緒じゃ悪かったかな?」
吉永がそう聞いてきた
俺は・・・首を横に振る
さっきまでなら頷いていたかもしれない
・・・まあ、それはさすがに出来ないか
「別に・・・一緒に映画を観るのは・・・かまわない
それに俺がしゃべらないのは・・・今に始まったことじゃないから」
気にしなくていい
・・・そう言おうとしたのに
「さよちゃん、葉月くんは普段あんまり話さないけど
時々ぼそっとへんなギャグ言ったりするんだよ、しかもそれが寒いの!」
「え・・・」
がそんなことを言うから、俺は柄にもなく・・・少し照れた
その様子を見て、女二人はけらけらと笑う
俺はまさしく釈然としなかったけれど・・・
その場が和んで話の矛先が変わったなら・・・それでよかった
しばらくして館内放送が俺たちが観る映画の入場開始を知らせた
コーヒーのカップを片付けて・・・俺たちはシアターへ向かった
シアターの中では・・・並んで席が4つ
真ん中に・・・と吉永
そして吉永の隣に金城
の横に俺が座った
映画は・・・前評判どおり本当に超大作で
俺は2時間以上息つくまもなくその世界に引き込まれた
二人きりではなかったけれど・・・
結局この映画を選んだことは・・・良かったのかもしれない
映画が終わって俺はトイレへ向かった
すると何故か・・・・金城が俺の後ろへついてきた
「、今日はありがとうね」
「いいよ〜、そんなの友達だもん当たり前じゃん」
珪くんと金城くんが二人ともトイレに行って、さよちゃんが私にそう切り出した
今日は午後休になったけれど、私たちはお弁当を持ってきていて、それを教室で食べていた
その時私は、珪くんと会えることが嬉しくて、午後は映画を観るってつい口にした
「が映画を観るって言うからいいなぁって騒いだら、金城くんがきたから・・」
「うん、まさか金城くんが俺も一緒にって言い出すとは思わなかったね
びっくりしたけど、さよちゃんにとってはよかったでしょ?」
「そりゃもちろん、嬉しいよ〜、いつもには感謝してるって」
「それこそさ、さよちゃんのほうが二人のがよかったんじゃないの?」
「う〜〜ん、微妙!二人だったら何を話していいか照れちゃってわからなくなっちゃうもん」
さよちゃんは金城くんのことを大好きで、それは親友の私しか知らない
見かけすごく大人びていて、私なんかよりずっとずっと綺麗なさよちゃん
だから男子にもすごく人気があるけど、どんな誘いにも絶対乗らない
それだけ金城くんを好きなんだろうなって思うけど、金城くんとの仲は一向に進まない
「時々思ってたんだよね、金城くんはのこと好きなのかもなぁって」
「はぁ?!ないない、それは絶対ないって!」
「どうなんだろう、が鈍感で感じないだけかもって思ってた、でもね」
「でも、なに?」
「は彼氏はいないって言ってたけど、今日それが嘘だってわかった」
「え?」
「葉月くん、の彼氏でしょう?」
さよちゃんにそう聞かれて私は
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